のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

のりしろと脚注のはざま

のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

甘味をスウィーツって呼ばない私は和菓子党。

年1回か2回、地元のデパートでは「全国駅弁当とうまいもの大会」ってのが開催されます。駅弁にはあまり興味がないのですが、そこで実演販売の「できたて」赤福を買うのが楽しみだったんですけどねー。

でもアレって、実演販売だったわりに、実際手渡されるのは既に包装済みの、よく冷えたヤツ。・・・・ああ、アレは返品→冷凍→解凍→「むきモチにアンコまき直し」的な、再登板の商品だったのかもねー。
「ナマモノですので本日中にお召し上がり下さい」って但し書きを、赤福の場合は他のどんな和菓子より厳格に守っていたのに。それぐらい、老舗の味に敬意を表していたのに。ええ、大好きですよ赤福

昔、老舗「赤福」をモデルにした「赤福物語」ってドラマがありましたね、そー言えば。赤福の女将を演じるのが十朱幸代で。昔「赤福」は味や鮮度が落ちるのを懸念して、伊勢以外では売られなかった時代もあったらしい。まさに門外不出の、幻の甘味。

そのドラマでは確か、赤福を皇室に献上するのに職人の指で直接あんこに波形の模様をつけるのはいかがなものか、ってんで、ゴム手袋をはめてやってみるけどどうにもうまくいかない、やはり「赤福」のあんの上品な波模様は繊細な人の指でなければ無理なんや、・・・・と十朱幸代女将が言っていたのを鮮烈に覚えております。当時はたぶん極薄の手術用手袋みたいなものはなかったんでしょう。
当時、私の住む地方ではまだ赤福は食べられませんでした。後年、くだんの「うまいもの大会」で初めて赤福を食べた時には感激しましたよ実際。十朱女将の顔も浮かんだ気がします。甘いものへの憧憬ですよ、これぞ。

その後「博多ぶらぶら」が赤福そっくりの味でショック受けたりもしたけど、やっぱり赤福はちょっと格の高い和菓子だと、ずっと思い込んできた、この私の味覚の歴史(甘味限定)を一体どーしてくれるんですかッ!? 

なんかもー、こういうニュースって非常に残念です。会見の席で、赤福社長が何となく現場のせいにして他人事ふうの語尾で喋るのも残念。十朱幸代が演じた女将も草葉の陰で嘆いておられますよね、きっと。