のりしろと脚注のはざま

のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

「バベル」を見ないで年は越せなかった!

クリスマスが自分の中で大イベントではなくなった今日この頃(黄昏?)、今時分というのは年内の仕事は終了、さりとて、おせちの準備にはまだ早い、大掃除にもエンジンかからず、年賀状にもまだ取りかかれず、という非常に中途半端な谷間の時期(って、グータラな私だけの感覚?)でして、つい見逃していた映画のDVDなど大量に借りてしまったりするわけだ。こんなに見きれないでしょう?というくらいに。

そんな中の1本、「バベル」。・・・これはねぇ、公開期間中、いくらでも見る機会あったのに、何となく食指が進まず、ついに劇場では見なかった映画なんです。
少なくとも私の周囲でこの映画好きと言った人は1人しかいなかった。その人でさえ「この映画が不評な理由もわかりますが、ボクは面白かったです」というもの。・・・なかなか勇んで見に行く気持ちにはならなかったのです、上映時間も長いし。

で、今日、勇気を出して(?)見てみた。
見終わった感想としては、・・・・これはねー、大傑作。個人的にはタマラン大好き。
何だか悲惨で哀しくて切なくて、おぞましくて、クリスマスイヴに見る映画かよ?って気も、確かに途中しましたが、・・・・なんかもう、泣けたー。ま、カンタンに映画見て泣く私ではあるが、この「バベル」はねぇ、2度と見ないかもしれないけど、けして忘れない映画だと思います。

若干ネタバレになるかもしれないので、見ていない方、見る予定のある方はこの先、読まないでください。

結局のところ、沢尻エリカふうに言うところの「諸悪の根源」は役所広司だったりするのかもしれませんが、この、モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本、4つの国の物語が、時間差ありつつひとつにつながっていく、この見事さ。まったくもう、見たこともない映画を見ている、という実感を、ヒシヒシと感じながら没入して見てしまいましたよ。

すごい監督ですよアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(覚えられないッ)。そーいや「21グラム」もタマラン大好きな映画でしたよ。なんかこう、見てて不安な気持ちにさせられるよね、いつも。で、何だか重苦しいながらも、そのモヤモヤの気持ちを確実に昇華できる帰結点が用意されているよね(ハッピーエンドって意味じゃないが)。

鳴り物入りで凱旋のオスカー女優・菊地凛子を見ようと思って見てしまうと、すさまじく裏切られてしまうかもしれません。映画の中の彼女のキャラクターはかなりエキセントリックで、多国籍映画の中の日本代表キャラとしてはなかなか受け入れがたい。公開当時、日本の聾者団体の中からも劇中の少女の描写に対して、それを演じる菊地凛子に対して批判が出たとか。・・・・しかし、劇中の彼女はいわゆるPTSD状態だったのでしょうし、菊地凛子はその役柄の哀しさをイタイくらいの切実さで演じきったのでしょう。なかなか実際、一筋縄ではいかない女優さんだな、という感想を持ちました。日本のテレビドラマなどには到底具合良くはまらない人でしょう、良くも悪くも。

その菊地凛子と関わりを持ってしまう刑事役の二階堂智って俳優さんも、何だか良かったです、普通で。倉本總さんとこの劇団出身で「ラストサムライ」にもけっこう重要な役で出ていました。ちょっと渡部篤郎に似ていますが。

ブラット・ピットもケイト・ブランシェットも良かったですねぇ。こういう映画に出ようと思うブラピはホント素敵だと思います。最後の出演シーン、病院から家に電話をかけ、息子の声を聞いて嗚咽をこらえる演技には泣かされましたねぇ。

それにしてもだ、コレは現代の話。同じ時間軸の中にある、モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本の、生活の違い、文化の違い、自然や景観の違いに、ただもうあ然としてしまう。世界はこんなにも広く、違った文化圏が広がっている、という、当たり前の事実に驚いてしまう映画でもありました。
いやー、深い。ズシンときました。ものすごい映画です「バベル」。