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のりしろと脚注のはざま

のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

ヘルプレスなサッド ヴァケイション

映画

後追いがワタシの宿命なのか、単にリアルタイムに観る努力を怠ってるだけなのか、・・・・DVDで見逃していた映画を集中的に観て、時間の空白を埋めようと躍起になる今日この頃です。あ、なるべく「新作」で借りるよーにしてますよ。旧作になるのを待ったりはしません(どーゆー自慢だ?)。

今回は「サッド ヴァケイション」。
青山真治監督の、「北九州サーガ」3部作の集大成と呼ばれているとか。

北九州なのにサーガとはコレいかに (林家木久扇レベル)

他の2編「EUREKA」「Helpless」を観てないってのは 失敗だったかしら?
いや、「サッド ヴァケイション」だけでもわからないワケじゃないですが、 他のも大急ぎで見なくっちゃと思いましたよ、はい。


キャスト的にオダギリジョーの名が大きく出ていたりしますが、 これはあくまでも浅野忠信の映画です。
オダジョはそこそこ重要な役ではあるものの脇に回っています。青山作品に関われるならと喜んで脇役を買って出た、みたいな感じでしょうか(想像ですけど)。
他の共演陣も豪華です。嶋田久作川津祐介(とてもいい味出してる)、中村嘉葎夫、光石研宮崎あおい板谷由夏、・・・・それから郷土の期待の星、高良健吾くんも重要な役で出ていました。浅野忠信と互角に渡り合っていましたし、九州の話なので彼自身もリアルに演じられたかも。

でもって、石田えりがステキ。 なんかもう、日本の女優じゃないみたい。 こんなキャラクター、母親像は、今までどんな映画でも観たことがありません!
あまり書くとネタバレになるのでヤメときますが、石田えりはスゴイ女優です。暖かく大きく残酷な、母なるものの本質。たとえばドラマ「だいすき!」の母役・岸本加世子あたりとは真逆のアプローチですよ。「東京タワー」のオカン樹木希林とも全く違いますよ。石田えりしかできません、あんな顔。もっと評価されていいと思います。彼女も郷土のホコリです。

「サッド ヴァケーション」は北九州のフィルムコミッションが全面協力した、 地元密着の映画でもあるんですよねぇ。
羨ましいです。我が地元でもこーゆーの撮ってほしいですよ、誰か。

で、逆になりますが「Helpless」を本日観ました。「サッド ヴァケイション」の11年前の作品。「サッド・・・・」は 「Helpless」の続編と考えてもいいような気もしますが、厳密に言うと微妙に違う。「EUREKA」的な設定もからんでくるらしいし(貸し出し中でまだ観てないんです「EUREKA」)。でもまあ「Helpless」がなければ「サッド ヴァケイション」は絶対生まれなかったのは確実。

全編、暴力に充ち満ちておりますが、浅野が凶行に及ぶきっかけはいつも彼なりの優しい気持ちなんだよね。何かを守ろうとして、何かをかわいそうに思って、何かを許せないと思って、結果として暴力に走るんだね。
優しさの発露が暴力、って、かなり矛盾してるとは思うけど、浅野演じる健次はそんなふうにしか表現出来ない少年だったようです。これまたヒリヒリ痛い映画ですが、ワタシは面白く見ました。

11年前の浅野忠信は今よりもっと目がカミソリみたいで、ナイフみたいに尖っては触るもの皆傷つけた、ってゆーギザギザハートの子守歌的なキャラだったんですね。
これと同じ年にチャラと出会い、若い夫になり、父になり、・・・・少年はいきなりオトナになってしまったっつーことか(タメ息)。