のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

のりしろと脚注のはざま

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「イントゥ・ザ・ワイルド」

「好きな俳優(海外)は誰ですか?」と聞かれたら、今なら「ショーン・ペン!」と答えます。「ミルク」でアカデミー最優秀主演男優賞受賞おめでとう! 地元ではまだ公開未定ですけれど、授賞式でチラッと紹介された1シーンでも既に喋り口調、立ち姿の何とも言えない腰つき、素敵なハーヴェイ・ミルクっぷりでした。公開が楽しみです。賞を取ってくれたことで、地方でも公開早まるかもしれません。

そんなショーン・ペンが監督した「イントゥ・ザ・ワイルド」って映画をDVDで観ました。これは劇場で予告編見て絶対観ようかと思っていましたが、いつの間にか終わってました(よくあるパターンだ)。

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、これは実話です。洋の東西を問わず青年は荒野を目指すものなんですね。無謀だけど、狭量だけど、独りよがりでもあるけど、旅立った彼の思いは純粋だったわけだよ。なんかもう、最後らへんの「どーにもならない感」は「チェ39歳 別れの手紙」に似てなくもない(まーこの旅もある意味「自分革命」なんでね)。

いろんな、素敵な人との出会いもありつつ。そこで立ち止まる選択肢もあったろうによ。何かもう青年の心は「アラスカ」に絡めとられておるのだよ。そこにパラダイスがあるわけではないのによ。そこにあるのは「荒野」だっつーのよ。つっても大昔ではないのでアラスカだってわりと都会なんじゃないかと危惧する私は汚れたオトナ。

でもまー旅の道すがら描かれるアメリカ大陸の美しいこと美しいこと! 撮り方がまた本当ォ〜にきれい。ショーン・ペンの心映えが「絵」に出てると思いますよ、ええ。この題材を、真っ向から「オレはこう撮る!」という気概を持ってキッチリ撮り上げたことがヒシヒシと伝わってきます。だからもうあえてどーのこーの言うつもりなし! これはこれでいいです! 満点!

しかし、何だか惜しい(言うんかい!)。・・・・なーんか、物語があのように帰結するのは、そりゃ実話だから仕方ないのかもしれないですけどね。
全然毛色の違う作品ですけど、この手のストーリーだと私などは「嫌われ松子の一生」みたいなカタルシスを求めます。あれは本当に良くできた映画でした。もちろん「イントゥ・ザ・ワイルド」の青年が突然踊ったり歌ったりしたらイヤですけど、何かこう松子的な世界を思い描きながら観てしまいました。