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のりしろと脚注のはざま

のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

「アニエスの浜辺」

アニエス・ヴァルダの「アニエスの浜辺」って映画を見ました。
アニエスb.ではありません、アニエス・ヴァルダ。むかーし、そうさな私がオトメの頃、ちょいと背伸びして読んでいた「クロワッサン」誌で「歌う女・歌わない女」っていう映画が紹介され、その監督がアニエス・ヴァルダ。当時「クロワッサン」は今のようなオバチャン情報誌ではなく、もーちょっと尖った、フェミニズムだとか、おフランス寄りのファッションだとかライフスタイルだとかを紹介するイカした雑誌だったんだぜ。それを16くらいから読み始め、今じゃ実年齢がクロワッサン世代ですけども。

で、その「歌う女・歌わない女」はたぶん劇場で観たような気がするんだけど、ほぼ覚えてない。アニエス・ヴァルダの名前と顔は強くインプットされたものの、その後彼女の作品を劇場やDVDで観たことはありませんでした。何となく「社会派?」くらいの印象しかありませんでしたが、彼女、フランスでは「ヌーベルバーグの祖母」と呼ばれてるとか。祖母ですよ、祖母。

そんなアニエス・ヴァルダ81歳の最新作「アニエスの浜辺」。アニエス自身が自分の半生をたどりながらゆかりの地を訪ねるわけなんですが、これがまぁ〜面白いこと面白いこと!! 簡単に説明するのは難しいけど、何しろまぁー計算され尽くした、美しい映画でした。お茶目で愛すべき人ですアニエス・ヴァルダ。

ワタクシゴトになりますが、先日、グルメ番組の撮影に行った時、お店のご主人から「あのー“ディレクター”って何ですか?」って訊かれたんです。改めて訊かれると何と答えていいやら、これ意外とムズカシイ。まぁー現場では「いろいろ喋り倒して素早くつまみ食いする人」くらいの印象かもしれんけど。

しかしねぇ〜「アニエスの浜辺」観てつくづく思いました。まぁー私のよーな木っ端ディレクターとヌーベルバーグの祖母ヴァルダを並べて語っておこがましいけれども、ドキュメンタリーでもグルメでもバラエティーでも、ディレクターは自分の設計図を持って現場に赴かないとイカンよねー。
撮った映像、つーか撮れちゃった映像を切ったりつないだりして何とかしようとするんじゃなくて「ここではこういう絵を撮ろう」っていう必然を、予め準備しておいて現場の全員に周知するのが仕事なんだ、って改めて強く思いました。現場で想定を上回る偶然や方向転換が起こることは多々ありますが、それはそれとして受け入れつつ。・・・って、改めて言うと笑われそうなほど当たり前のことでしょうけどねコレ。
「アニエスの浜辺」、今観れて良かったですホントに。そうさなこれからもアニエスのように、足腰アタマ丈夫に軽快に保って息長く仕事していきたいものです。