のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

のりしろと脚注のはざま

のりしろとのびしろは似てるけどだいぶ違う

吉田拓郎復活! すばらしい歌をありがとう!

9月30日(日)、熊本市民会館
吉田拓郎 "Country Life is a Voyage Tour" の、本来ならば熊本は10カ所目のステージだったのですが、ご存じのように初日のサンシティ越谷市民ホールの後、拓郎さん体調を崩し、以後、関東・東北・関西の8公演は延期に。
したがって、この熊本のステージが拓郎さんの復帰ライブということで、けっこう注目を集めていたようです。肺癌の手術したのが4年前。去年のつま恋ではあんなに元気だったとはいえ、「体調不良」なんて聞くと再発を危惧するファンもいたでしょう。また本人もブログ等で発言していらっしゃるように、癌の闘病後、鬱の症状にも苦しんでいるそうだし、そちらの方も心配・・・。

でも、とりあえず今日この日までテレビ等で延期のお知らせはなかったので、コンサートは無事開催される模様。よかった。まずはよかった。

日曜日で、しかも6時開演というライブは正直初めてです。拓郎さんの今回のツアーは他の会場も6時開演、祝日に当たるホールは5時開演なんてところもあったようです(延期になりましたけどね)。5時過ぎに市民会館に到着すると、既に大勢の人、人、人。・・・し、しかも何だかスゴイ。何がスゴイって、年齢層が高い(笑)。

ほぼ全員、50代〜60歳前後。男女比は7:3くらいでオヤジ優位。シャツをインに着たジーンズにベースボールキャップで今日この日への意気込みが感じられるお父さん達。そっと寄り添うその妻達。いわゆる団塊の世代ってんですか?

かくいうワタクシは、リアルタイムの拓郎ファンではありません。このオーディエンスの中ではかなり若輩者と言えるでしょう。先日の福岡MCUのライブでは「この観客の中できっと私がイチバン年上・・・」と密かに苦笑いしたワタクシ、今回拓郎ファンの中ではチョー若い、・・・ってどーゆー立ち位置なんだ私? 私とドンぴしゃ同世代のスタアって一体誰なのよ?

などと言いつつ、会場内へ。
つい最近改装されたばかりの熊本市民会館。確かに座席が薄手の丈夫な木製になってその分座席前の空間が広くなり、スタンディングでライブ見るには楽かも。しかしこの年代のオーディエンスは、果たしてライブ中立つのか? 立ったままノリノリでシャウトしちゃった日にゃ、明日は足腰立ちませんぜ、お父さん!

市民会館は1500人以上入ると思いますがもちろん満員。待ちきれず開演5分前には「タクロー!」「タクロー!」の雄叫びと万雷のカーテンコールが巻き起こる。熱い。みんな熱いぞ。

円形に張り巡らされたカーテンが開いて、拓郎舞台中央に板付きで登場。ピンスポットを浴びて、アコギで歌い始める。地鳴りのような拍手、歓声。
すごいよー。拓郎、元気です、ものすごく元気です!
なんて言うんでしょう、ロックコンサートでロッカーが登場してキャーーーっていう感じとは違う、「うわああああー!タクロウだッ!」っていうカリスマのオーラ。ちょっと、何だかいきなり涙出ました。拓郎が歌ってる! こんなにも大きな声で、力強く!

セットリストを書きたいところですが、すいません、不勉強で最近の曲は特に曲名がわかりません。それにしてもバックバンドも実力派ミュージシャン勢揃いで(吉田健さんはいらっしゃいませんでした)音のミキシングも絶妙で、普段慣れたロックコンサートのように鼓膜破けるよーな大音量ではなく、一つ一つの楽器が粒だって絡み合いつつ心地よい、でもって拓郎のヴォーカルも歌詞がしっかり聞き取れる。しかも、観客全員座ってる! 座ったまま涼しく大盛り上がり。ナイスです。曲をしっかり聴けるコンサートってステキ。

「本来初日だった越谷のファンには申し訳ないけど、このツアーは、今日熊本が仕切り直しの初日です」と拓郎自身言ってましたが、拓郎ご一行、なんとコンサートの3日前から熊本に入っていたそうな。阿蘇の温泉とか行ったのかしら? ・・・・そんなわけで体調万全、気力も充実で、歌声は去年のつま恋よりツヤも伸びもさらにアップ(って、つま恋はテレビで見ただけですが)。
曲間の拓郎さんのMCも超面白かった! それをここに拾い書きしても、あのニュアンスは伝わりづらいと思うのでやめておきますが、ご自分の鬱との関わり方なども笑いを交えてけっこう率直に語っておられました。

中盤盛り上がったのは、サプライズゲストのムッシュかまやつが登場してから。
いやー「ナマかまやつ」ですよー。
「シンシア」「水無川」「我がよき友よ」、く〜、いい歌ですねーしかし。拓郎さんとかまやつさん、いいお友達のようですね。

「流星」の熱唱にはグッと来ましたねぇ。「♪君の欲しい物は何ですか 僕の欲しかった物は何ですか」。・・・61歳の拓郎さんが歌うとまたいいんだ、これが。
吉田拓郎という人はヴォーカリストとしても圧倒的に素晴らしい人だと、今さらながら再確認しました。

アンコールでは、拓郎が1人アコギの弾き語りで「祭りのあと」、中島みゆきの名曲「ファイト」(感動!)、バンドも入って「外は白い雪の夜」と続き、最後はついに観客総立ち。・・・・よかった、ホントによかった。ホントにいいものを、いい歌を聴かせてもらいましたよー。

「コレ終わったら、この先10年はツアーやんないよ」って言ってた拓郎さん。もう我が地元でライブ見る機会はないかもしれないという気はしますけど、もうツアーでなくていい、拓郎さんの近所のホールでいいから(どこだよ?)年1回くらいコンサートやってほしいなー。